セル
** なるほどSR20DE(T) **

SR20DE(T)とは?編

1:当時としては画期的?
SR20DETがデビューしたのは1991年。それまでのS13シルビアに搭載されていたCA18DETに代わって登場しました。そもそもSRエンジンとは、プリメーラなどのファミリーカーに向けて開発されたエンジンで、SR20DETはそれらにターボをつけただけのエンジンと称されてきました。確かに、スペック数値的にもターボに頼るものが大きく、エンジンそのもの性能は2流といって過言ではありません。

その当時のスポーツカーといえば、マツダのFC3Sや日産のBNR32、トヨタの70スープラといった面々が市場をにぎわせ、シルビアはデートカーとされています。これは当時がバブル期の真っ只中にあり、高い車がやたらと売れる時代を反映していたものです。そんな中でファミリーカーエンジンのターボ版を積んだ車が出ようとさほど話題にはなりませんでした。

しかし、バブル時代にお金がありやまっていたのは社会人のみではありません。当時の若年層でも車を所有できる余力があリ、そんな彼らにはS13シルビアがまさに的確であったのです。

では、なぜSR20DETが昨今になっても現役でいられるのか?その答えはエンジンそのものの重量と特性にあります。SR20DETに限らず、SRエンジンはアルミダイキャストブロックという材質で作られています。これは一体何かといえば、単にアルミ製のエンジンであるということ。エンジンといえば鉄製のブロックで作ることが常識であった当時ではこれほど画期的なことはありませんでした。(いやオーバーなんだけど)

そもそも、アルミブロックのエンジンを作ったのはホンダが最初です。EF8(CR-X)に搭載された初代VTECエンジンこそ、アルミ製エンジン第一号機です。今でこそVTECとはスポーツ路線で有名ですが、本来はスポーツだけにとどまらず、環境や燃費のことも視野に入れたエンジンの技術でした。それを見た日産が同じようにアルミ製のエンジンを作ったのがプリメーラに搭載されたSR18DEエンジン。VTECのような技術力は当時の日産にはありませんでしたから、当時のVTEC1600ccに対抗する手段として200ccUPの1800ccでデビューさせたのです。

SR18DEデビューが1989年でしたから、シルビアのデビュー後に登場したことになります。その後2年間に日産はほぼ全車種にてマイナーチェンジもしくはフルモデルチェンジを行い、SRエンジンは広く普及しました。そして最後にマイナーチェンジを行ったのがS13系です。

CA18DETを積んでいた当時よりも価格が上昇しましたが、パワーアップという文句につられてかなりの台数が販売されました。SR20DETエンジンは、当時日産のアルミエンジンのフラッグシップに位置していたエンジンです。

2:純系スポーツとは違う楽しさ
上でも述べたように、当時のスポーツカーは素晴らしい向上を迎えており、その代表格がR32GT-Rの存在です。今から見てもR32GT-Rの性能は素晴らしく、第一線で活躍できます。もちろんSR20DETエンジンも幾多の改良を受けながらそれらに負けない性能を発揮しています。しかし、この両車が大きく違うのは、開発された段階でスポーツを意識しているかしていないかということ。

SR20DETはファミリーカーから徐々に進化してきたのとは違い、GT-RのRB26DETTは勝つ為のエンジンとして設計されています。純にスポーツを楽しむのであればGT-Rのほうが優秀ですが、普段はドライブを楽しみ、時たまスポーティーにというライフスタイルであればSR20DETのほうが適しているといえるでしょう。

SR系は登場から10年以上が経過し、残すところSRエンジンも日産一部車種を残すのみとなりました。そしてチューニングの技術的にも最終段階のレベルにあります。そこがさらに新しい世界を開拓しています。

私的にスポーツエンジンとは、パワーだけの存在だけでは速さを追求することは出来ません。名機RB26といえどもそれは同じで、シングルタービンではその速さを追求できなかった結果ツインターボを採用しているのです。同じ日産で時たま比較にだされるRB25DETというエンジンがありますが、これもファミリーカーに搭載されて年季のあるエンジンですが、SR以上にパワーは絞れるものの、爽快感の無さがネックとなり、スポーツエンジンとしては若干物足りないという声をよく聞きます。

それに比べるとSR20DETはあの軽さにしてあのパワーといわれるほどまでに進化し、最終的にはエクストレイルのトップモデルにて搭載。SR20VETはノーマルでも280psをはじき出したのです。優等生を嫌うスポーツカーオーナーは最近増えてきたと思いますので、SR20DETの魅力につかる人はこれからも増えていくことでしょう。安くて速いエンジンといえば?SR20DETに他ならないのです。

3:改良改良
SRエンジンは大きく分けて2種類。それはターボかNAということになります。最初はNAにターボをつけたものがSR20DETだったのですが、シルビア系の躍進とともにいつのまにかまったく違うものへ進化してきました。

まずはターボエンジンですが、これも5つに分けられます。元祖の1型はS13に搭載された赤ヘッドSRといわれるもの。プリメーラのNAにターボを積んだだけといわれればそれまでですが、NAには無かった魅力が引き出され面白いエンジンです。ただ、初号機というだけあって、SRエンジンの中ではもっとも耐久性に乏しく、ECUもまだまだ完成されていなかったのです。しかし、チューンドベースにするならばかなり面白いエンジンです。

2型は赤ヘッドSRに対しての変更を加えたモデル。変更点はピストンをクーリングチャンネル付きにしたことと、ラジエータに電動ファンを追加。ECUの設定に余裕を持たせた所です。おそらくSR全体の生産数の中で最も多いエンジンでしょう。基本は1型と大差ありませんが、赤ヘッドよりも若干耐久性が向上したのでノーマルからちょっと加えるだけでも面白い。しかし、耐久性の向上は本当に大差が無いので、過激なチューニングが出来ないのは同じです。180SXの中期型から最終型に搭載されました。

3型はシルビア系から離れてパルサーへ。日産のラリーも出るといえばパルサーGTi-Rでしょう。この車にもSR20DETが搭載されていますが、4WDということでかなり異なったSRエンジンです。しかし、ラリーを前提に開発された車なので、タービン容量はS13よりも大型で、エンジン各所の耐久性も段違いです。これが180にボルトオンならばよいのですが、4WD専用設計なので微妙に合いません。タマ数も少なく、なかなか見かけないエンジンですが、SR史上では上位の性能を発揮します。

4型はS14シルビアに搭載されたエンジンです。このSR20DETは大規模な改良を受けました。ベースは2型のエンジンで、その変更点は可変バルブタイミング機構(NVCS)が搭載されたこと。これによってSRのトルクは向上し、タービンの大型化も実施できました。耐久性も2型よりも向上し、エンジンフィーリングもまったくの別物です。ECUは完成の域に入り、ノーマル状態でもなかなかの高性能を発揮します。

5型エンジンはS15に搭載されたエンジン。内容的には4型とあまり変わりが無いのですが、タービンがさらにハイフローとなり、さらに馬力が向上されました。また、馬力に向上に伴って、インジェクターなどの補機類も上級品を搭載されたので総合的に言うとSR20DETの完成形といえるでしょう。

最後にNAエンジン。シルビアにはNAモデルが常に登場していましたが、180に追加されたのは最近のことで、最終型のみにグレードが存在します。このエンジンは2型エンジンをベースにしたNAエンジンで、ターボでは味わえない回転フィーリングは格別です。NAのSRこそ本来の姿だと主張するように、同クラスのNAの中ではおそらく最高ランクでしょう。S13、S14、S15に搭載されたNAエンジンはすべてターボモデルをベースにされています。

ちなみに上記のほうで少しだけ触れたSR20VETについて。これはSR20DETと似ているようですが、改良の歴史はまったく別です。1994年ごろからNASRエンジンは、4型SR20DETに搭載された可変バルブタイミング機構とはまったく別の機構を採用しています。これは環境配備を前提にした改良なのですが4型エンジン同様にトルクが向上し、非常に面白いエンジンとなりました。その流れをくむのがSR20VETなのです。

ノーマル状態で280psをはじき出し、大型インタークーラーを搭載してタービンもSR史上最大サイズ。SR系の最終傑作とも言われています。アルミダイキャストブロックで280psは異常ともいえる数値で、それをメーカー純正で製作できることはSR系の技術が素材を超えたことになります。また、SR20VETの特徴はパワーだけでなく、可変バルブタイミング機構も新型が搭載され、ホンダのVTECに匹敵する技術をターボに搭載したのです。

ただしエクストレイルのみの設定・・・で終わってしまい。SRはここを最後に歴史から消えます。

SRの魅力編

1.軽量
ではもっと具体的な魅力を解説しましょう。まずその一つ目はコンパクトかつ軽量であるという点です。鉄製のブロックの場合、補記類などを除いたエンジン単体の重量は軽く500kgを超えてしまいます。しかし、アルミ製で作ることでその重量は300kgにまで軽減されます。これは1990年代最初にメジャーとなってきたFF化に対する対策です。FFという駆動形式は、FRと違ってエンジンの重量がハンドリングにかかってきます。また、駆動輪がフロントになることでコーナリング性能の低下を防ぐ為にもフロントは軽くなくてはいけません。そういう事情もあってアルミエンジンが日産の基本に定着したのです。

シルビアは基本的にライトウェイトスポーツの領域に含まれていましたが、改良を重ねることでそれらの頂点になったことはいうまでもありません。最近ではミドルクラスという名称も生まれ、S15シルビアの高性能さが評価されていますが、ミドルというクラスが出てきてもなお、SR20DET搭載のシルビアは頂点なのです。

その大きな原因は重量です。FRという形式にあってフロントとリアの重量バランスを1対1にすることが加速性能とハンドリングを決定します。そんなわけでアルミエンジンのシルビアは非常にバランスの取れた車体になっているのです。特に180SXは完全な1対1の重量バランスで、ハンドリングさは皆が評価するとおりです。

2.価格
アルミは軽い!もはや誰でも気がつきそうなことですが、中でも知られていない事があります。それはエンジン単体の値段です。上記でも述べたように、S13シルビアはマイナーチェンジによって価格は上昇しましたが、これは内装関係の充実によるものが大きく、エンジンなどの駆動部分に関しては進化したのに値段は変わっていません。

そして長く持つエンジンということで、シルビアや180の台数は一向に減りません。普通の乗用車ならばとっくに廃棄されてもおかしくない年齢なのに乗り継がれているのはエンジンの耐久性にあったのです。 だから・・・事故で減らすのは勘弁してねwww

3.メンテナンス性
SR20DETの魅力はアルミだけではありません。普通、エンジンルームを見ない人にはまったく気づかれないことですが、SR20DETは圧倒的に他のエンジンよりも部品数が少ない!この理由は当時としては画期的だった機構をふんだんに利用されている所です。すべてを紹介すると尽きてしまいますので一部を紹介します。

まず、その一!チェーン式タイミングベルト。普通タイミングベルトはコグベルトです。これはだいたい5万キロで交換が推奨されています。しかし、SRのタイミングベルトはチェーン式なので理論上切れることが無く、単車にも採用されている強化チェーンなのでメンテナンスフリー。基本的にこれを取り替えることはありません。10万キロ超えたら交換かな???というレベル

そのニ!ダイレクトイグニッション!これは点火方式の違いです。普通のエンジンはデストリビューターという装置を使って点火時期を計算してプラグに着火する方法を使っています。しかし、この方法だとデストリビューターから点火プラグまでの配線が太くなり、非常に劣化しやすく、これも約5万キロで交換が普通です。ところがSRではデストリビュータを使わずにバッテリーからダイレクトに着火します。これが出来るのはエンジンそのものに専用の機構を設置することが出来たからです。また、FRというレイアウト上デストリビュータが設置できなかったという点も大きいのです。

その三!低圧縮高ブースト!これはエンジンそのものの圧縮を低くして耐久性を出し、高ブーストによってパワーを得るという方法です。普通のエンジンでこれを採用すると低速のトルク不足に悩まされるのですが、これはSRが持つ根本的なトルク量が大きい為に採用できたことです。RB20DETも同じ方法ですが、RBエンジンは6気筒でトルクが足りない・・・そこで低速がかったるいということになります。

まだまだあるのですが、ふんだんな技術を使われているので、交換部品も最小限で済み。それでいて壊れにくいという理想のエンジンなのです。これはファミリーカーがベースなので逆によかった点といえるでしょう。交換部品もまだまだいっぱいありますしね。

限界編

1.アルミダイキャストブロック
さて、ではチューニングを進めていくうえで気をつけなくてはいけないことなどをこの章で解説します。上のほうではアルミを一方的に褒めちぎりましたが、それは純正での話。チューニングをすれば邪魔な部分にもなるのです。

まず、その第一がアルミ製を使ったことで耐えられる容量に限界があります。鋳鉄もアルミダイキャストも基本的に溶解温度はさほど変わりません。しかし、高圧縮下ではアルミの方が耐久性にかけるのです。もっともその影響を受けるのがピストンシリンダー部分。ピストンシリンダーは常に高圧縮の状態です。そして常に爆発が発生している箇所なので、チューニングを進めて更なる高圧縮と爆発力の増大を行えば、ヘッドと腰下のガスケットが吹っ飛ぶ、または横に穴があきます。これがSRの弱点といわれている部分です。

そのピークといわれているのが400ps。これは単にエンジンだけのピークではなく、駆動系(ギア)等の部分も含めた場合です。エンジン単体でも500psが上限で、これ以上は確実にエンジンを壊します。

その対策としては、まず、油圧式ラッシュアジャスターという方法でカムを支えている部分を取っ払います。これはSRの特徴であるメンテナンスフリーの場所なのですが、チューニングには邪魔です。これはパワーに関係なく取っ払っても問題は無いでしょう。取っ払うことで定期的にチェックをしなくてはなりませんが、高回転でも問題なくまわすことが出来るのです。

問題のピストンシリンダーですが、これはちょっと厄介です。ピストンシリンダーの外壁は言うまでも無くアルミです。それに代わる物を…なるにはエンジンそのものを取り替えるのが有効なのですが、はっきりいってそれじゃあ意味ありません。ということでアルミシリンダー部分をオーバーサイズにくりぬいて、周りだけを鍛造鉄で覆ってしまうことです。そして強化品のピストンを取り付ければ650psまでは大丈夫でしょう。しかし、この加工は熱変化に厳しく耐久性がありません。日々のメンテナンスも欠かせないという点もあるので一般向けじゃありませんね。ドラッグレースで活躍しているシルビアや180はだいたいこの方法で対策をしています。使い捨て同然だとか・・・

2.補器類
S15に関しては差ほどではないのですが、S14・特にS13に関してはエンジンに対して補記類が貧弱すぎます。まず、ノーマルでも足りない部分は燃料ポンプ。この流量はまったく足りず、ちょっとしたチューニングで既に限界です。この対策は有名なRポンプに取替えですね。

次に足りないのはインジェクター。ノーマルで付いているものは約250psまでが限界で、それ以上を望むなら要交換。皆さんはだいたい550ccというインジェクターをつけているようです。こうすることで450psまで対応できます。

そしてさらに足りないのはエアフロ。これはエアクリから入った空気を測定するものですが、こいつがまた貧弱で280psぐらいまでしか対応できないのです。ポン付けタービンが流行するこの世の中では役不足です。そこで対策はZ32エアフロを流用してしまいましょう。しかし、これはかなり複雑な作業を含むのでショップにお任せがよろしいでしょう。

その他足りない所は普通のエンジンでも同じですがラジエータ。そしてパイピング類でしょうか。これらはチューニングを進めていく段階でいつかは変える物ですから、すぐに変えても損は無いでしょう。

3.オーナーの愛が左右する
180が登場してからすでに・・・うんじゅう年。廃車同然という180もあれば新品同様までありますね。このさははっきり言って愛の違い。たかが機械、されど機械。愛せば愛すほどその見返りは大きいということですね。

世の中現実離れした愛を持って180をかわいがる人もいるように(我)これからも大事にしたければ愛をもって接してあげましょう。洗車は欠かさず!エンジンルームのチェックも!消耗品はすぐに変える!などですね。

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